スポットシェフをやってわかったこと——副業料理人のリアルな1日

キャリア・転職

初めてスポットシェフに申し込んだ夜、正直眠れませんでした。

「知らない厨房に、知らないスタッフと、一人で入る」——頭の中でそのシーンをずっとシミュレーションしていました。うまくやれるだろうか。迷惑をかけたらどうしよう。何度も「やっぱりやめようか」と思いました。

でも実際にやってみたら、これが本当に良かった。

副業として収入を得るだけじゃない。さまざまな現場を経験することで技術が磨かれ、視野が広がり、料理人としての自分が確実に成長していく実感がある。そして何より、新しい人と出会い、縁が広がっていく——そんな体験を繰り返すたびに、「もっとやりたい」と思えるようになりました。

この記事では、私ツッチーが実際に経験したホテルの現場・小さなワインレストランの現場・そして失敗した日の話まで、スポットシェフのリアルを包み隠さずお伝えします。

読み終わったあとに「私もやってみたい!」と思ってもらえたら嬉しいです。

📌 この記事でわかること

  • スポットシェフで一番大切なこと(技術よりも大事なもの)
  • ホテルとワインレストラン、全然違う2つの現場のリアル体験
  • 失敗して料理長に怒られた日の話(いいことばかりじゃない)
  • それでも続けているリアルな理由と、ぜひ挑戦してほしい理由

スポットシェフで一番大切なこと——「求められることを感じ取り、動く」

スポットシェフを何度か経験して、強く感じていることがあります。

それは、「技術の高さ」よりも「その現場で何が求められているかを感じ取る力」が全てだということです。

どんな現場でも、まず空気を読む。今日どんな仕事が必要で、自分はどこに入ればいいか。それを素早く判断して、テキパキ動きながら積極的にコミュニケーションを取る。

お店によって求められることは本当に全然違います。大規模なホテルと小さな個人店では、必要とされる動き方がまったく異なります。マニュアル通りに動けばいい現場もあれば、自分の判断力が試される現場もある。

だからこそ、「指示を待つ」のではなく「自分から考えて動く」姿勢が絶対に必要です。受け身でいると、気づいたらその日が終わっています。

もうひとつ大切なのが、コミュニケーション。初対面のスタッフと短時間で信頼関係を作るには、挨拶・確認・報告をとにかく丁寧にやることです。「これはどこに置けばいいですか?」「次は何をやりましょうか?」——こういう小さな声かけを積み重ねることで、「この人は使える」と思ってもらえます。

💡 例えるなら

スポットシェフは「期間限定の助っ人選手」みたいなもの。チームの流れを読んで、どこで貢献できるかを自分で判断して動く必要があります。指示待ちでいると、あっという間にその日が終わってしまいます。

ホテルの現場——朝8時、バイキング場でステーキを焼いた日

最初にご紹介するのは、ホテルでの案件です。

朝8時着でスタート。到着するとすぐに担当の方から簡単な説明を受け、案内されたのはバイキング場のステーキコーナーでした。

「お客様の目の前で、ライブでステーキを焼く」——これが最初の仕事でした。

プレッシャーはかなりありました。お客様は目の前にいる。並ばれては困るので常に焼き続けないといけない。でも焼きすぎてしまうと肉の質が落ちる。焼くタイミング・焼き加減・肉の焼き上がりのコントロールを常に頭の中でぐるぐるさせながら動く、そんな状態でした。

「今どのくらいのお客様が来ているか」「次のお客様が来るまでに何枚焼いておくべきか」——その場の状況を見ながら一人でさばいていく。慣れてくると、これが不思議と楽しくなってくるんです。

さらに困ったのが、ほとんどのお客様が外国の方だったこと。

「焼き加減はいかがですか?」を英語で伝えなければいけない場面が何度もありました。カタコトの英語で必死に話しかけながら焼く、という状況は初めてで、かなり苦労しました。

でも、ホールスタッフの方がうまく英語でフォローしてくださって、なんとかこなすことができました。そのとき「英語のコミュニケーション力も料理人のスキルのひとつなんだな」と痛感しました。

午前の山場を乗り越えると、厨房に戻ってパーティー用の前菜を4人で黙々と盛り付け。12時前に1時間の休憩を取り、戻るとパーティーが始まっていたので、前菜の仕上げとホット場での揚げ物対応。夕方17時ごろに退勤という流れでした。

👨‍🍳 私の場合

ホテルのスタッフは本当に明るくて元気で、チームの雰囲気がとても良かったです。衛生管理もきっちりしていて「こういうプロの現場があるんだな」と刺激を受けました。時給は約1,800円。バイキング場でステーキをライブで焼くなんて経験、普通の厨房では絶対に積めません。「来て良かった」と心から感じた一日でした。

小さなワインレストラン——少数精鋭の現場で認めてもらうには

次は、ホテルとは真逆の現場の話です。

厨房3人で回す、小さなワインレストラン。11時に出勤すると、まず任されたのが野菜の切り出しでした。

細かくサイズを指定されて、それ通りに切っていく。丁寧に、綺麗に、正確に——当然それは大前提です。

でも私が一番意識したのは、「爆速で切ること」でした。

理由があります。少人数の現場に外部からスポットで一人入れるということは、そのお店にとってコスト的にかなりの負担です。大人数の中の「一人」ではなく、確実に役に立つ「一人」にならなければいけない

私は自営業もやっているので、人を一人雇う重みはよくわかります。だからこそ、「この人が来てくれて良かった」と思ってもらえるように全力で動きました。

午前中に認めてもらえれば、空気が変わります。スタッフの方の目線が変わる。声かけが増える。そうなると仕事がどんどんやりやすくなっていく——この流れを意識的に作ることが大事だと感じています。

切り出しを終えると、次は本格的なフランス料理の仕込みに入りました。

煮込み料理のリソレ(肉の表面を焼いて旨みを閉じ込める工程)、ロース糸での縛り作業、ソミュール液(塩水ベースの漬け込み液)の仕込み、ムース作り——そういえば最近していなかった仕込み作業が一度に経験できる、濃密な時間でした。

休憩後は夜の営業の仕込みに入り、海老の殻むき、ベシャメルソースの仕込み、鴨の焼き工程など、さまざまな作業をこなして退勤しました。

👨‍🍳 私の場合

15時頃のまかないが最高でした。午前中の仕事を気に入ってくれたのか、スタッフの一人がどんどん話しかけてくれて、気づいたら料理談義に花が咲いていました。

その日の終わりに「コンビニでビール飲まない?」と誘っていただき、一緒に飲みながら野菜の話をしていたら、兵庫県北部の素晴らしい農園を紹介してもらいました。スポットシェフをきっかけに、こんな縁が生まれるとは思っていなかった。「なんでも挑戦してみるもんだな」と、改めて感じた出来事でした。

このお店には結局4回お世話になりました。

失敗も正直に話します——料理長に怒られた日のこと

いいことばかり書いてきましたが、ここで正直に話します。

スポットシェフ、うまくいかない日もあります。

ある現場で、自分なりに全力でやっていたのに、料理長にかなり怒られました。

理由のひとつは、従業員の方の指示に従って動いていたら、その指示自体が間違っていて「勝手に判断した」とみなされたこと。その方は途中で退勤していたので、フォローも入らず、そのまま私の判断ということになってしまいました。

もうひとつは、「今日は暇そうなのでゆっくりでつくって行ってください」と言われたのでそのペースで動いていたら、団体のお客様が一気に来て注文がパンク。料理長が厨房に出てきて手伝う羽目に、という流れでした。

本来ならそのお店にはあと4回行く予定でしたし、精神的にかなりきつかったです。

ただ、この経験から大切なことを学びました。

「ゆっくりでいい」と言われても、常に最悪のパターンを想定して準備しておく。ひとりの従業員の言葉だけを信じて動くのではなく、現場全体を見て自分で判断する。これがスポットシェフとして動く上での大切な心がけだと思っています。

次回からはちゃんと先回りして確実に迷惑をかけず戦力となって勤務できました

退勤の際には「今日は来てくれてありがとう、助かったよ、また来てね」と言って頂き、ホッとしたのを覚えています。

⚠️ 注意

高い時給で来ている以上、それに見合う仕事を見せる必要があります。スポットシェフは「その日一日で結果を出す」という厳しさがある。これは覚悟しておいた方がいいです。ただ、そのプレッシャーがあるからこそ、自分の力が伸びていくのも事実です。

こういう経験も全部ひっくるめて、今では「やって良かった」と思っています。失敗があるから成長できる。スポットシェフは、その機会を短期間でたくさん与えてくれる場所です。

スポットシェフを続けているリアルな理由——そしてぜひ挑戦してほしい

怒られた経験も含めて、私は今もスポットシェフを続けています。

理由はシンプルです。行くたびに、必ず何かを得て帰ってこられるから。

さまざまな厨房に入ることで、段取りの違い・食材の扱い方・盛り付けのセンス・チームの回し方——本業の厨房だけでは絶対に見えなかったものが、次々と見えてきます。「こんなやり方があるのか」という発見が毎回あります。

そして何より、行った先で「来てくれてありがとう」と感謝される体験が積み重なっていく。これがかなりモチベーションになっています。

副業として時給1,500〜3,000円程度の収入を得ながら、さまざまな現場で経験を積める。料理人にとって、これ以上ない副業の形だと思っています。

さらに一番良いのが、登録して、行きたいときに行けるフレキシブルさです。本業に支障をきたさないペースで、自分のタイミングで挑戦できる。これが継続しやすい理由のひとつです。

正直に言います。最初は怖かった。でも一歩踏み出したら、そこには想像以上の世界が広がっていました。

新しい厨房、新しい仲間、新しい料理との出会い。ホテルのバイキング場でステーキを焼きながら外国のお客様と話す体験も、ワインレストランで仕込み終わりにコンビニでビールを飲みながら農園の話を聞く縁も——全部スポットシェフがつないでくれたものです。

💡 例えるなら

スポットシェフは「動く料理学校」です。お金をもらいながら、さまざまな現場のやり方を体で学べる。副業収入はもちろん、それ以上のものが毎回手に入る。料理人人生を豊かにしてくれる、最高の選択肢のひとつだと思っています。

登録して申し込むだけで始められます。まず1案件だけ試してみてください。きっと「もっと早くやればよかった」と思うはずです。

まとめ——スポットシェフは料理人の新しい選択肢

📋 この記事のまとめ

  • ✅ スポットシェフで大切なのは「技術」より「現場に合わせて動く力とコミュニケーション」
  • ✅ お店によって全く違う現場経験が積める(ホテル・レストラン・小規模店…)
  • ✅ 少人数の現場では「爆速+積極性」で確実に役立つ一人になることが大事
  • ✅ 失敗することもある——常に最悪のパターンを想定して自分で動く習慣をつけよう
  • ✅ 副業収入+技術向上+人との縁が同時に得られる、料理人向けの最高の副業
  • ✅ 登録して行きたいときに行けるフレキシブルさが継続しやすい最大の理由

スポットシェフをやって一番よかったのは、「自分の料理人としての実力が客観的に見えた」ことです。

本業の厨房だけでは気づかなかった強みと弱みが、新しい環境に入るたびに浮き彫りになります。それが積み重なって、料理人としての自分がどんどん厚みを増していく感覚がある。

なんでも挑戦して、恐れずに楽しんで、自分の最大の力を発揮する——その心さえあれば、スポットシェフはきっとあなたの料理人人生を広げてくれます。

まず1案件、試してみてください。

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