え、あの黄色いお菓子の名前が、ヨーロッパの国の名前だったって知っていましたか。
「カステラ」は、お菓子の形でも材料でもなく、はるか遠いスペインの王国の名前から来ています。
長崎名物としておなじみのこのお菓子。その名前をたどると、500年近く前の大航海時代にたどり着きます。
🍳 今回のテーマ
「カステラ」の語源は、スペインにあった「カスティーリャ王国」。ポルトガル語の「Pão de Castela(カスティーリャのパン)」が、なぜ日本で菓子の名前になったのかをたどります。
ポルトガル人が運んできた「カスティーリャのパン」
16世紀、ポルトガルの商人や宣教師が長崎にやってきました。彼らが伝えた南蛮菓子の一つが、卵と砂糖と小麦粉で作る焼き菓子だったのです。
ポルトガル語ではこれを「Pão de Castela(パン・デ・カステラ)」と呼びました。意味は「カスティーリャのパン」です。
カスティーリャとは、当時イベリア半島にあった有力な王国の名前。つまりこの菓子は「スペインのあの地方のパン」という意味だったのです。
なぜ「パン」が消えて「カステラ」だけ残ったのか
日本人の耳に残ったのは、「Pão de(パン・デ)」ではなく後半の「Castela(カステラ)」の部分でした。
外来語が日本語になるとき、長い語句は短く刈り込まれることがよくあります。「カステラ」もその一例で、地名の部分だけが菓子の名として独り歩きしました。
結果として、本来は「○○のパン」という説明だった言葉が、お菓子そのものの固有名詞に変わってしまったわけです。
🔤 言語的な視点
外来語が原語の一部だけを残すのは珍しくありません。たとえば「ミシン」は英語の machine(マシン)が訛ったもので、原語の「機械」という意味からはかけ離れた専用の言葉になりました。
「カスティーリャ」はどんな国だったのか
カスティーリャは、現在のスペイン中央部を支配した王国です。15世紀末にアラゴン王国と統合し、のちのスペイン王国の母体となりました。
その名は「城(castillo)」が多い土地という意味に由来するとされています。城を意味するラテン語 castellum が地名になり、そして菓子の名へとつながっていきました。
スペイン語のニュアンスを残したまま、日本では完全に和菓子のように定着したのは興味深いところです。
材料でも形でもなく、遠い国の地名がそのまま名前になる。「カステラ」という言葉には、大航海時代に海を渡った言葉の旅が、まるごと閉じ込められているのです。
🍃 まとめ
「カステラ」はポルトガル語「Pão de Castela(カスティーリャのパン)」の後半が残った言葉。スペインの王国名が、長崎の名物菓子の名前として今も生きています。



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