ツッチー

料理科学ノート

トマトが「旨味の宝庫」と言われる科学——完熟するほどグルタミン酸が増える理由

完熟したトマトを一口かじると、じゅわっと広がるあの濃厚な味——実はあれ、うま味成分グルタミン酸が、昆布だしに匹敵するレベルで含まれているのをご存知でしょうか。イタリア料理には和食のような「だしを引く」文化がないのに、なぜトマトソースはあんな...
料理と言語

【命名の謎】「蒲焼き」はなぜ「蒲」なのか——形は消えても名前だけが生き残った、うなぎ料理の見立て

うな重の「蒲焼き」という文字を、漢字のまま書ける人は少ない。「蒲」は、うなぎとは何の関係もなさそうな植物の名前だ。実はこの一文字の中に、今とはまったく違う形をしていた、うなぎ料理の姿が閉じ込められている。🍳 今回のテーマ「蒲焼き」の「蒲」は...
料理科学ノート

コンソメスープが透明になる科学——卵白とアクが濁りを吸着する「清澄化」の仕組み

コンソメスープを仕込んだことがある人なら、あの透き通った琥珀色に驚いた経験があるはずです。骨や肉をぐつぐつ煮込んだ寸胴の中身は、最初は白く濁った液体。それが最後には一滴の濁りもない透明なスープに変わります。実はそこには、タンパク質の性質を利...
1年目が知らなかった話

コンビニ業界の「1/3ルール」という商慣習が、大量の食品ロスを生んでいた

コンビニのおにぎりやカップ麺の売り場を思い浮かべてみてください。棚に並んでいる商品、賞味期限はどれくらい残っていると思いますか?実はその裏側で、賞味期限がまだ半分以上——ときには3分の2近くも残っているのに、店頭に並ぶことすら許されず、メー...
料理と言語

【命名の謎】「鴫焼き」はなぜ鳥の名前がついているのか——茄子の田楽に隠された、戦国武家の幻の一品

「鴫焼き」という料理名を聞いたことがあるだろうか。茄子に味噌を塗って炙っただけの、素朴な田楽(野菜や豆腐に味噌をつけて焼く料理)の一種だ。ところがこの料理、鴫(シギ)という鳥の肉は一切使っていない。それなのになぜ、鳥の名前が茄子料理について...
1年目が知らなかった話

バニラが高級品なのは、19世紀に12歳の少年が編み出した「手作業の授粉」のおかげだった

バニラアイスやバニラビーンズの、あの甘く上品な香り。実は世界のバニラ農園の多くが、今でも一つひとつの花を人の手で受粉させていることを知っていますか。しかもそのやり方を編み出したのは、19世紀のインド洋に浮かぶ島で暮らしていた、わずか12歳の...
料理科学ノート

魚はなぜフライパンにくっつくのか——タンパク質と金属表面が引き起こす接着の科学

「よし、そろそろ返そう」——そう思ってヘラを入れた瞬間、皮がべりっと鍋底に残って身がボロボロに。焼き魚を任された新人の頃、私はこれを何度もやらかしました。同じ火加減、同じフライパンなのに、くっつく日とくっつかない日がある。実はこの差、コツと...
料理科学ノート

パスタの茹で汁がソースを繋ぐ理由——乳化とデンプンの科学

パスタを茹でている最中、鍋の脇に置いたあの白く濁った湯を「もったいないから」とそのまま排水口に流していないだろうか。イタリアの厨房では、この茹で汁を「オーロ・ビアンコ(白い金)」と呼んで大切に扱う料理人もいるほど、ソース作りに欠かせない存在...
料理と言語

【助数詞】箸は「膳」、椀は「客」——器と料理をセットで数える日本語の発想

「お箸を一膳ください」とは言うのに、「お茶碗を一膳ください」とは言わない。同じ食卓の上にある道具なのに、なぜ数え方はこんなにバラバラなのだろうか。🍳 今回のテーマ「膳」「客」「献」——食にまつわる助数詞には、単なる数量ではなく「誰のために、...
1年目が知らなかった話

回転寿司のベルトコンベア、ヒントは「ビール工場」だった

1958年、大阪府布施市(現在の東大阪市)で、一軒の寿司屋の主人が頭を抱えていた。店の名前は「元禄寿司」。主人の名は白石義明。戦後の好景気で寿司の注文は増える一方なのに、握れる職人の数はそう簡単には増やせない。一人前の寿司職人を育てるには何...