ハンター試験の二次試験。
一次試験の長距離走を走りきった受験生たちを待っていたのは、なぜか料理の審査でした。
試験官は、美食ハンターのメンチとブハラ。
課題は3つです。
- ブハラの課題:森にすむ巨大な豚「グレイトスタンプ」の丸焼き
- メンチの課題:スシ。ほとんどの受験生が、見たことも聞いたこともない料理
- やり直しの課題:ネテロ会長が出した、マフタツ山の谷底にあるクモワシの卵のゆで卵
豚の丸焼きは70人が合格。
ところがメンチのスシでは、合格者ゼロ。
メンチが最後に満腹になって試験を打ち切り、会長が仲裁に入る大騒ぎになりました。
読んだ人の多くは、こう思ったはずです。
「メンチ、厳しすぎない?」
でも、料理人としてこの場面を読み返すと、見え方が変わります。
メンチが全員落としたのには、ちゃんと理由がある。
今回は、ハンター試験の料理審査を、厨房の目線で本気で検証します。
※判定スタンプ(採用・一部採用・試作・没)の見方は、シリーズのトップページにまとめています。
※この記事は、原作2巻(No.010〜012)の内容をもとにしています。
メンチとブハラは「美食ハンター」。
珍しい食材や料理を求めて世界を旅するハンターです。
現実でいえば、食材を探して産地をまわる料理人やバイヤーに近い仕事かもしれません。
第1の壁:豚の丸焼きは、試験中に焼けるのか
ざっくり言うと
店のオーブンで焼いても8時間かかります。焚き火で一気に焼いた豚は、外は焦げて中は生のはずです。
ブハラの課題は「豚の丸焼き」。
森にいる豚はグレイトスタンプだけで、鼻の力が強く、骨をかみ砕く歯を持った、肉食の大きな豚です。
受験生たちは突進に吹き飛ばされますが、ゴンが額の弱点に気づいて一撃で倒し、ほかの受験生もそれにならいました。
私も、豚の丸焼きを焼いていました
実は私は、レストランで働いていたころ、イベントのたびに豚の丸焼きを焼いていました。
厨房には、大型の対面式のストーブ(フランス料理の厨房で使う大きなコンロ台)があり、その下がオーブンになっています。
お腹にファルス(詰め物)を詰めた豚を、そこで丸ごと焼くのです。
焼き始めは朝の7時ごろ。
焼き上がるのは15時ごろ。
温度を管理できる店のオーブンでも、8時間がかりの仕事でした。
丸焼きは「焦がさない、乾かさない」の8時間
豚の丸焼きは、オーブンに入れておけば勝手に焼けるものではありません。
8時間のあいだ、ずっと面倒を見続ける料理です。
- 耳、鼻、しっぽは、途中でアルミホイルで巻く:薄くて飛び出している部分から、先に焦げていく
- 定期的に油をかけながら焼く:表面の乾燥を防ぎ、皮をきれいな色に焼き上げる
- 口に、アルミで包んだ丸いものを噛ませておく:口が閉じないように形をつけて焼くと、焼き上がりで口が開いた、格好いい姿になる
- 目にはオリーブを入れる:見た目の仕上げ
- 最後に、グラス・ド・ヴィアンド(肉のだしを煮詰めたソース)を表面に塗る:テーブルに出したときの、あの艶はこれで出す
豚の丸焼きは、焼く料理というより、8時間つきっきりで世話をする料理です。
焚き火で一気に焼くと、どうなるか
受験生たちは、倒したその場で焚き火を起こし、豚を焼きました。
店のオーブンでも8時間かかるものを、森の焚き火で手早く仕上げれば、たぶん外は真っ黒、中は生のままです。
耳や鼻やしっぽは、最初に炭になっていたでしょう。
しかもグレイトスタンプは「大きな豚」。
ガリバーの回でも出てきたように、肉の厚みが2倍になると、中まで火が通る時間は約4倍になります。
大きな豚ほど、焼き時間は一気に長くなります。
計算メモ(読み飛ばしてOK)
アメリカのバーベキューでも、豚の丸焼きは「ひと晩、または丸一日かかる」と言われる
8kgほどの子豚を、早く焼ける方法で焼いても3時間近くかかった例がある
火が中心に届く時間は、厚みの2乗に比例する(厚み2倍 → 時間4倍)
※グレイトスタンプの体重は作中に書かれていない
ブハラは、それでも全部食べた
それでもブハラは、出された豚を残さず食べました。
ここで料理人は気づきます。
ブハラの審査は、焼き加減ではなく「豚を倒して、丸焼きの形にして持ってこられるか」を見ていたのではないか。
だからこそ、70人もの合格者が出たのでしょう。
8時間かけて焼いた豚を出していたら、試験は翌日まで終わりません。
ゴンが豚の額をねらう場面。
大きな動物ほど、急所を一撃で突くのが、体力を使わずにすむいちばんの近道です。
読み返すと、ゴンの観察力の高さがよくわかります。
採用
丸焼きルート
グレイトスタンプの丸焼き
形にはなる。でも、きちんと焼くなら店のオーブンで8時間。ブハラの審査は「焼き加減」ではなかった
第2の壁:ブハラは、本当に70頭も食べられるのか
ざっくり言うと
人間の胃では、100回生まれ変わっても無理です。
70人が合格したということは、ブハラは少なくとも70頭分の丸焼きを食べたことになります。
かなり控えめに、1頭10kgの子豚サイズだったとしましょう。
それでも70頭で700kg。
軽自動車1台分くらいの重さです。
大食いチャンピオンと比べてみる
人間の胃の大きさは、ふだん1リットルちょっと。
大食いの選手は、これを大きく広げることができます。
アメリカのホットドッグ早食い大会では、10分間で70本以上を食べる選手がいます。
それでも、重さにすると7kgほど。
ブハラの700kgは、その100倍です。
つまり、ブハラの胃袋は、人間の大食いの頂点の100倍以上。
ハンター試験でいちばんの謎は、料理ではなくブハラの体だったのかもしれません。
計算メモ(読み飛ばしてOK)
胃の容量:やせ型の人で約1.1リットル(風船で測った研究)
ホットドッグ早食い大会:10分で70本台。1本約100gとして約7kg
子豚10kg × 70頭 = 700kg(骨も含む)
700kg ÷ 7kg = 100倍
メンチもブハラも、試験のあとに体調を崩した様子はありません。
700kgの豚を食べたあとに、ふつうに次の審査を見守っているブハラ。
美食ハンターになるために、いちばん必要なのは胃袋なのかもしれません。
胃袋ルート
ブハラの70頭完食
控えめに見ても700kg。大食いの世界記録の100倍
ここまでを数字でふり返ると
8時間
店のオーブンで豚の丸焼きを焼いた時間
700kg
ブハラが食べた豚の重さ(控えめに見て)
0人
メンチのスシの合格者
第3の壁:メンチを満足させるスシは作れるのか
ざっくり言うと
作れます。でも、あの場で作られたスシなら、料理人でも不合格を出します。
いよいよ本題です。
メンチの課題は「スシ」。
受験生のほとんどはスシを知りません。
用意されていたのは、ごはんと調理道具。
受験生たちは、少ないヒントを手がかりに、池や川へ魚を取りに走りました。
クラピカの推理は、かなり正解に近い
ここで光るのが、クラピカの推理です。
テーブルに箸と、しょうゆ用の小皿が用意されていることから、「スシは箸で持てる大きさで、卵より大きくはないはず」と考えます。
これは、料理人から見てもほぼ正解です。
今の握り寿司は、シャリ1貫で15〜20gほど。
一口で食べられる大きさです。
ちなみに江戸時代の握り寿司は、今の2〜3倍の大きさがあったと言われています。
形と大きさは、推理でたどりつけます。
では、なぜ不合格だったのか。
理由1:川の魚を、生で出された
料理人として、いちばん引っかかるのはここです。
受験生たちは、池や川の魚を使いました。
川や池にすむ淡水魚を生で食べると、寄生虫に感染する危険があります。
たとえば、ドジョウやナマズの顎口虫(がっこうちゅう)、アユやコイの横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)、フナやコイの肝吸虫(かんきゅうちゅう)などです。
目や脳に入りこんで重い症状を起こすものもあります。
寄生虫を防ぐのは、酢や塩ではなく加熱です。
海の魚のアニサキスについても、ふつうの料理で使う程度の酢締めや塩漬け、しょうゆ、わさびでは死なないとされています。
現実では、淡水魚は生で食べず、中まで十分に加熱しましょう。
美食ハンターのメンチが、それを知らないはずはありません。
むしろ、生の川魚を平気で出してくる時点で、「この受験生たちは、食材のことをわかっていない」と判断したのではないでしょうか。
そもそも、江戸時代の握り寿司も、生のネタはほとんどありませんでした。
冷蔵の技術がなかったので、酢でしめたり、火を通したりしたネタが中心だったのです。
理由2:手順を知っていても、握れない
スシを知っていたハンゾーも、不合格でした。
ハンゾーは作り方を知っていましたが、メンチは味で認めませんでした。
これも料理人ならうなずけます。
寿司は、手順を知っていることと、おいしく握れることが別ものの料理です。
シャリは人肌くらいの温度で、ほどよく空気を含ませて、口の中でほどける固さに握る。
この力加減は、何年もかけて手で覚えるものです。
理由3:審査の基準を、誰にも伝えていなかった
ただし、メンチにも反省点があります。
審査の基準を、最初に誰にも伝えていなかったことです。
審査委員会がメンチに求めていたのは、料理の腕そのものより、限られたヒントから答えにたどりつく観察力や注意力を見ることだったようです。
そこへメンチは、料理人としての「味」の基準をそのまま持ちこんでしまいました。
料理人の目線で言えば、メンチの舌は正しい。
でも、試験官としては、基準を伝えないまま全員を落としたことが問題でした。
料理人ならこう出す:川魚は「焼いて、押す」
では、あの場面でどうすればメンチを満足させられたのか。
料理人として、答えを出してみます。
川や池の魚しか手に入らないなら、生で使うのはあきらめて、火を通します。
ここで頼りになるのが、焼き鯖寿司の考え方です。
焼き鯖寿司は、塩をした鯖をこんがり焼いて、酢飯にのせて押し、棒状にしてから一口大に切る寿司です。
これを、川魚でやります。
- 三枚におろして、塩をふる:余分な水分と臭みを抜き、身をしめる
- 中までしっかり焼く:表面をあぶるだけの「炙り」では、中まで火が通らない。川魚は芯まで焼き切る
- 小骨を抜き、皮目を香ばしく仕上げる:焼き魚の香ばしさは、酢飯の酸味とよく合う
- 酢飯を棒状にまとめ、身をのせて押す:ラップやぬれ布巾で包んで、形を決める
- 一口大に切る:クラピカの推理どおり、箸で持てて、卵より小さい大きさに
握りではありませんが、生の魚がなくても、寿司として成立する一皿です。
江戸時代の職人が、火を通したネタで寿司を握っていたのと同じ発想でもあります。
食材のことをわかったうえで、安全に、形と大きさをそろえて出す。
メンチが見たかったのは、たぶんこういう「料理人としての判断」だったのではないでしょうか。
クラピカが箸と小皿からスシの大きさを推理する場面。
料理を知らなくても、道具を見れば料理の形がわかる。
これは厨房でも同じで、見慣れない料理は、まず使う器と道具から考えるのが近道です。
スシルート
メンチを満足させるスシ
川魚の生は論外。でも、焼いて押せば、寿司として出せる
第4の壁:クモワシの卵は、何分でゆで上がるのか
ざっくり言うと
卵が大きくなるほど、ゆで時間は一気に長くなります。
騒ぎを収めたのは、ネテロ会長でした。
メンチも自分の非を認め、新しい課題が出されます。
マフタツ山の谷底に、クモワシが糸で吊るした卵を取ってきて、ゆで卵にすること。
受験生たちは、崖から飛び降りて卵をつかみ、ゆで卵をほおばります。
最終的に、二次試験を通過したのは42人でした。
大きな卵は、ゆで時間がまったく違う
クモワシの卵の大きさは、作中にははっきり書かれていません。
ここでは、仮に世界最大の鳥の卵、ダチョウの卵くらいだとして考えてみます。
ダチョウの卵は1個1.3〜1.7kgほどで、鶏卵25〜30個分。
殻の厚さは2mmほどもあります。
鶏卵なら固ゆで10分ほどですが、ダチョウの卵を販売している牧場では、ゆで卵にするなら1時間半が目安としています。
実際に2時間以上ゆでた人は、黄身がパサパサになったそうです。
計算メモ(読み飛ばしてOK)
計算でも確かめると:卵の中心まで熱が届く時間は、卵の太さの2乗に比例する
重さが鶏卵の約27倍なら、太さは約3倍(27の3乗根)
3 × 3 = 9倍 → 固ゆで10分 × 9 = 約90分。牧場の目安とほぼ同じ
ネテロ会長の課題は、ただのゆで卵に見えて、実は待つ根気も試されていたのかもしれません。
ダチョウの卵の殻は、厚さ2mmほど。
かなり固いので、割るときは金づちを使うこともあるそうです。
中身は鶏卵25〜30個分。
販売している牧場では、ゆで卵だけでなく目玉焼きもおすすめしています。
フライパンいっぱいに広がる、巨大な目玉焼きになります。
ゆで卵ルート
クモワシの卵のゆで卵
ゆでるのは簡単。ただし大きな卵なら1時間半コース
番外検証:140人が一斉に豚を焼いたら、どうなるか
ざっくり言うと
森が火事になるか、煙で試験どころではなくなります。
ブハラの課題に挑んだのは、140人を超える受験生。
その全員が、森の中で一斉に焚き火をして豚を焼いたことになります。
料理人として心配になるのは、火と煙です。
大きな豚を焼くには、何時間も強い火をたき続けなければいけません。
140か所で一斉に火をたけば、森は煙だらけです。
現実の大きなイベントで豚の丸焼きをするときは、焼き場を決め、消火の準備をして、風向きまで考えます。
ハンター試験の会場は、段取りとしてはかなり危なかったはずです。
もしかしたら、裏で「煙のプロ」が動いていた?
それでも作中では、森が煙に包まれて試験が中止になることはありませんでした。
ここからは料理人の妄想です。
ハンター協会には、のちに登場する、巨大なキセルの煙を自在にあやつるハンター、モラウがいます。
140か所から上がる煙を、空の上でまとめて片づけていたのは、実はモラウだったのかもしれません。
もちろん、原作にそんな場面はありません。
でも、受験生140人が一斉に焚き火をしても大騒ぎにならなかったのは、ハンター協会の裏方が優秀だったから。
そう考えると、二次試験の見え方が少し変わってきます。
本気の理論レシピ:明日から使える「ハンター試験コース」10人前
最後に、3つの課題を、厨房でそのまま使える形に設計します。
分量は10人前です。
ブハラの課題:豚肩ロースのロースト
丸ごと1頭は予約制のイベント料理なので、ここでは豚肩ロースのかたまりで、丸焼きの技をそのまま使います。
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 豚肩ロース(かたまり) | 2kg(1人前200g) |
| 塩 | 16g(肉の重さの0.8%) |
| 黒こしょう | 4g |
| にんにく | 2片 |
| サラダ油 | 適量(焼いている途中でかける分も) |
- 塩は肉の重さの0.8%:焼くと肉の水分が抜けて重さが減るので、焼き上がりで塩分がちょうど1%前後になる。仕上がり1%が、いちばんおいしく感じる塩加減
- 焼く30分〜1時間前に冷蔵庫から出し、塩、こしょう、つぶしたにんにくをすりこむ:冷たいまま焼くと、外だけ焼けて中が生になりやすい
- 表面を焼き固めてから、160〜180℃のオーブンでじっくり焼く:途中で何度か、天板にたまった脂や油を表面にかける。丸焼きと同じ「乾かさない」工夫
- とがった端が焦げそうなら、アルミホイルで守る
- 芯温計で中心温度を確認し、アルミで包んで休ませる:豚肉は、中心部を75℃で1分以上加熱するのが目安。休ませるあいだに肉汁が落ち着く
メンチの課題:焼き鮎の棒寿司
第3の壁で出した答えを、そのままレシピにします。
川魚の代表、鮎を焼いて、押して、棒寿司にします。
| 材料(棒寿司4本・約10人前) | 分量 |
|---|---|
| 鮎 | 8尾(1尾70〜100g) |
| 塩(鮎用) | 鮎の重さの1.5%ほど |
| 米 | 3合(450g) |
| 合わせ酢 | 米酢 75ml、砂糖 30g、塩 9g |
| 甘酢しょうが | 適量 |
| 木の芽、または粉山椒 | お好みで |
- 鮎を三枚におろし、腹骨をすき取って、身の両面に塩をふる:15分ほどおいて、出てきた水分をふき取る
- 皮目から焼き、中までしっかり火を通す:表面をあぶるだけの炙りにはしない。川魚は芯まで焼き切るのが、安全のための絶対条件
- 冷ましてから、小骨を抜く:熱いうちに触ると身が割れる
- 酢飯を作り、1本あたり約240gを棒状にまとめる:ごはんが熱いうちに合わせ酢を混ぜ、人肌まで冷ます
- 巻きすにラップを敷き、焼いた鮎を皮目を下にして並べ、酢飯をのせて巻き、形を整える:しっかり押して、30分ほどなじませる
- 1本を8〜10切れに切る:クラピカの推理どおり、箸で持てて、卵より小さい一口大に
仕上げに木の芽や粉山椒をのせ、甘酢しょうがを添えます。
焼いた鮎の香ばしさと酢飯の酸味がよく合い、生の魚がなくても、ちゃんと寿司になります。
ネテロの課題:ゆで卵
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 卵(Lサイズ、冷蔵庫から出したて) | 10個 |
| 水 | 卵がしっかりかぶる量 |
- たっぷりのお湯を沸騰させてから、卵を静かに入れる
- 半熟なら6分30秒、固ゆでなら10分:時間がきたら、すぐに氷水にとる。冷やすと殻もむきやすくなる
豚のロースト、焼き鮎の棒寿司、ゆで卵。
3品を並べれば、ハンター試験コースの完成です。
メニュー名は「ハンター試験コース」。
前菜は大きなゆで卵の半割り、しめは焼き鮎の棒寿司。
メインの豚の丸焼きだけは、前日までの完全予約制です。
なにしろ、焼くのに8時間かかります。
最終判定
| ルート | 判定 | ひとこと |
|---|---|---|
| 豚の丸焼き | 一部採用 | 形にはなる。きちんと焼くなら店のオーブンで8時間 |
| ブハラの70頭完食 | 没 | 控えめに見ても700kg。大食い記録の100倍 |
| メンチのスシ | 採用 | 川魚の生は論外。焼いて押せば寿司になる |
| クモワシのゆで卵 | 採用 | ダチョウの卵くらいなら1時間半が目安 |
| 140人の焼き場(番外) | ― | 森が煙だらけになる。裏方が優秀だった? |
二次試験の最終的な合格者は42人。
その後もいくつもの試験が続き、第287期ハンター試験の最終合格者はわずか7人でした。
料理の審査は、そのなかでいちばん平和な試験だったのかもしれません。
採用
総合判定
ハンター試験の料理審査
料理は作れる。メンチの不合格にも理由があった。ただし、ブハラの胃袋だけは再現できない
厨房で使える学び
1. 大きい肉は「焦がさない、乾かさない」
肉の厚みが2倍になると、中まで火が通る時間は約4倍。
長く焼くほど、飛び出した部分は焦げ、表面は乾いていきます。
とがった部分はアルミホイルで守り、ときどき油や焼き汁をかけながら焼く。
豚の丸焼きでも、ローストチキンでも、かたまり肉のローストでも同じです。
2. 生で出す魚は、種類と仕入れ先を必ず確認する
メンチが一番いやがったのは、たぶんここです。
生で出すなら「刺身用」の海の魚。
川や池の魚は必ず加熱します。
3. 審査する側は、先に基準を伝える
メンチの舌は正しかった。
でも、基準を言わずに全員を落としたことで、試験は大騒ぎになりました。
厨房でも、新人に料理を教えるときは「どうなったら合格か」を先に見せる。
完成品を一皿つくって見せるだけで、やり直しはぐっと減ります。
先輩に料理を見てもらうときは、作る前に「どこを見ればいいですか」と聞いてみましょう。
メンチのように、言わなくても伝わると思っている先輩は、意外と多いものです。
まとめ
ハンター試験の料理審査を料理人の目で見直すと、ばらばらに見えた3つの課題に、それぞれ理由が見えてきました。
ブハラは、焼き加減より「獲って、焼いて、持ってくる力」を見ていた。
メンチは、生の川魚を出してくる受験生たちに、料理人として当然のダメ出しをした。
そしてネテロ会長は、命がけで食材を取りにいく、美食ハンターの本質を試した。
メンチが全員を落としたのは、わがままではなく、料理人としての正しさでした。
ただ、それを最初に言葉にしていなかった。
それだけです。
次に原作を読み返すときは、ぜひメンチの表情に注目してみてください。
きっと、ちょっとだけ味方したくなるはずです。



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